「着いたぞ。
このアパートの1階だから。」


カズでいっぱいだった頭の中に
流れ込んできた少し低い声。


背中から視線をはずすと
お世辞にも綺麗とはいえないアパートがあった。


再び歩き出した後を追うと
表札も無い部屋に案内された。


靴を脱いでいると

「なんか飲むか?」

と聞かれたので

「…コーヒーで。」

と答えておいた。