でも所詮は赤の他人。
カズと違うところなんてたくさんあった。


カズはピアスなんてしたこと無かったし、
ブレスレットをジャラジャラつけるタイプでもなかった。


まじまじと一樹という人の顔を見ていると
カズよりも薄めの唇から
カズよりも少し低い声が出てきた。



「…もし、帰るところが無いなら
俺んち来ねぇか?」



普通の人ならこんな出会ったばかりの人の家なんて行かないんだろうけど、

さっき自殺をしようとしていた僕は普通じゃない。
とにかくカズといたかった。

だから僕は首を縦に何度も振った。


「ここからそんなに遠くないから。」


そういって歩き出した一樹という人。

…カズはブーツなんて好きじゃなかったのに。

そう思いつつ偽者の背中を追った。