「…おい。お前の相手は俺じゃねぇのかよ」


「あ?まだ、お前いたの?今日は見逃してやるから消えろ」




目にたまった涙が溢れてくる。
どうしよう。止まらないよ。

だけど、怖いからじゃないのかも。
辰巳くんが、かばってくれたと思ったら嬉しくて涙がでちゃった。



ホント、馬鹿だよね。
こんなのただの気まぐれなのに。

こんなにも、振り回されちゃって。
我ながら情けないよ。


「それ、俺に言ってんの?」


「お前、女の前だからって調子のりやがって」



突然柄の悪いヤンキーは、腕を振り上げた。



……やめてっ!!



―――――ゴスッ!



鈍い音と同時に誰かが、倒れた。


恐る恐る目を開けてみると、倒れていたのは………柄の悪いヤンキーだった。



「調子のってんのは、お前じゃなくて?」


「だぁまぁれえええ」


そう言ったヤンキーは、辰巳くんに襲いかかった。