はぁ~。



一人はやだなぁ~。


この年にもなって寂しすぎる。



どっか、寄り道してこっかなぁ~。
だけどここ、妙に人通りが少ない。

大通り使えば良かったかなあ?
変な人でなけりゃいいけど。


どうか、どうか、遭遇しませんように。



……だけど、そう思ったのもつかの間で。


―――ドカッ―――


殴られたような鈍い音が、裏通り中に響く。



「…ひいっ」


「……………お前。俺をなめんてのか?」






だ、だだだだ誰っ!?


「なめては、無い。お前みたいな可哀想なヤローに同情しただけ」



へっ?


えーと。


恐る恐る声のする方に振り返ってみた。



………嘘っ!!



私の目に写ったのは、柄の悪いヤンキーと……辰巳くんだった。
辰巳くんは、殴られたようだ。

口元から血が出ている。


い、痛そう………


「な……何で……」



この声にヤンキーはすぐに反応した。

「あ?誰だお前」


この時、後悔しても遅かった。
なんで、声をだしちゃったんだろう?


どうしよう。

どうしよう。どうしよう。どうしよう。


柄の悪いヤンキーは、私の方に向かってズンズン歩いてくる。



「お前。よくみると可愛いじゃん。それに、良いからだしてるし……」


「~~~~!!」


ヤバイ。

声が出ない。


初めて知ったよ。


本当に怖いときって声もでないんだね。