「てーか、謝らないでよ。

俺、別に部活とか興味ないから…


それより、戻らない?ホームルーム始まるとヤバくない?」



そう言いながら、彼は私の腕を掴み立ち上がらせる。


それから、私の手の中のハンカチを奪い取り、顔を除き込んだ。



「目、大丈夫そうだね!」



そんな間近でそれも男の子に顔を覗き込まれるなんて滅多にないことだから、私は恥ずかしくなり顔が上げられない。




「急がないと、


行こうか、藤井さん」




彼はそう言うと私の手を取りゆっくりとした歩調で廊下のざわめきの中に滑り込む。



私はただ呆気にとられ、彼の行動に身を任せていた。




人波に流されながら、私達は教室の中へ。



彼の手は教室に入っても握られたままだった。



「あのー、手?」


「あっ、ごめんごめん…」