「目、冷やしたら…」




照れてるのか、ぶっきらぼうにそう告げた彼は私の隣にいつの間にか腰を下ろした。



そしてそれっきり黙りこんだままだった。




どれぐらい時間が過ぎたのだろう?



いつの間にかまた、廊下がガヤガヤと騒がしくなる。



それを耳にした彼は急に立ち上がった。




「もうそろそろ、戻ろうか?

……オリエンテーション、終わったみたいだし」


「………」



そうか、私達はオリエンテーションをさぼってしまったんだ。



見ず知らずの彼を巻き込んでしまい、今になってやっと状況が把握出来た。




わざわざ私の為に時間を無駄にしてしまったと。



「……あのー、ご、ごめんなさい」



勢いよく彼に向かって頭を下げる。



謝っただけではどうにもならないけど、



けれども、謝らずには要られなかった。