ふと耳元で声がして、目の前が急に暗くなった。
そしてゆっくりとその場からその人は私を連れ出した。
「……もしかして、彼、だったの?」
「えっ?」
「あんまりにも見てて辛そうだったから、だからもしかしたら……って」
「……」
ゆっくりと歩みを進める彼は未だ目隠しを外さないまま、先に進む。
私は不安よりもさっき見た衝撃的なシーンを目の当たりにしてるせいなのか、この状況に何も感じない。
ガヤガヤと騒がしかった廊下はいつの間にか静かになり、そして私を覆っていた目隠しはいつの間にかなくなり、
私は知らない場所に連れて来られていた。
「……ごめん、大丈夫?
だいぶ泣いた見たいで目が赤いから、体育館には行かない方がいいかと思って」
「……」