だから、片想いの歴史はかなり長い。
そしてそんな歴史を琉司は知っている。
そのオリエンテーションの時、私は見てしまったから。
そして、琉司はそんな私を見ていたから。
それは体育館に移動する時の出来事。
ふと見知った後ろ姿を見つけた私は、その背中を追い掛けてしまった。
その背中はある空き教室の中に消えていき、私はゆっくりと気付かれないようにその教室に近付いた。
そしてそこで目にしたものは……、
大好きな昂くんが私の知らない女の子とキスしてる所だった。
ゆっくりと重なる二人の影。
そして、少しずつ激しくなる行為。
経験はなくともこれから始まる二人の行動はすぐさまなんなのか分かった。
分かるのに、見たくないのに、けど私はそこから動けない。
ただ、私は涙を滴ながら声を殺しただ立ち尽くすしかなかった。
「……もう止めといたら」