「……じゃあ頼んだぞ。藤井」



なんて勝手に用を言い付けて軽々しく私の肩に触れてくる先生は、数学の先生の割に力強い。



そんなに力が有り余っているなら、私なんか頼まずに自分が案内すればいいのに…。



なんて思いながら、先生の横で俯いている男の子に目を向けると。




あれっ、この子……。



どっかで会ったことがある気がする。



えーと、誰だっけ?



記憶の糸を手繰り寄せて…なんてしなくてもすぐ思い出した。



この子、昨日帰る時に会った子だ。




「…えっ?」



って事は彼が転校生?



「…昨日の、男の子が…」