髪をおだんごに結った店員が困ったように話しかけてきた。
腕時計を見ると、もう7時を回っていた。

「あぁ、すいません!今出ます! よこたん、行こっ!」
「あ、うん」

なんだか釈然としないまま店を出た。
道路に出て、ユミはすぐさまタクシーを拾う。
こういうところはさすが星皐学院だ。

ユミは止まったタクシーへぐいぐいとわたしを押し込む。
私が後部座席に座ることを確認すると、ユミはタクシーから降りた。

「え、ユミは帰らないの!?」
「うん、テレビ局行ってあしたの朝のテレビ番組の打ち合わせしないと」
「でも…」
「いいから乗った乗った!はい、これ」

ユミはアナスイの財布から5000円を引っ張り出し、わたしに渡した。

「ちょっとユミ!!」
「今日付き合ってくれたお礼!じゃあ、またあした!」
「え!まだ話が…」
「運転手さーん!行っちゃってー!」

タクシーの扉がバタンと閉じて、発進する。