「前にさ、よこたんに『占いは神秘的なものじゃない』って言ったよね」
「うん、話したね」
「霊能力とか、そんな類の力を持っている人はたまにいる。だけど、だいたいの人はその力をうまく使い切れないの。そんな力を上手く使って占いとか霊視とかする人はほんとうに少ないんだ」

わたしは黙ってユミを見た。

「わたしだって持ってない。わたしは、占いは学問とか、そんな現実的な類のものだと思ってる。わたしの家族もそうだし、ひいお爺ちゃんだってそう言ってたみたい。占いについてちゃんと勉強をしたり、データ収集をしたり。占いにきた人っていうのは、少なからず迷いがある人だから、その人がよくなるように一生懸命、一緒になって考えるの。それで、良い結果を導きだせたら占い師冥利に尽きるし」
「たしかにそうだね」
「でも、長いことやってるとね、なんていうか勘がつくの」

「その勘が、漆坂を見たときに働いたってこと?」

ユミは困ったように笑う。

「そうそう、そういうはなしー」
「で、ユミ的にはどう思うの?」


「漆坂って――」
「お客様、申し訳ありませんが閉店のお時間です」