**;;;☆**;;;☆**;;;☆**;;;☆**
私は、貴方と約束の時に―――
**;;;☆**;;;☆**;;;☆**;;;☆**
私は、早乙女紗姫(サオトメサキ)。
両親は、いつもほんわりとしたココロが優しい人で、優しい色合いの服が似合う。
そんな両親を見ながら、私は、こんな性格に育った。
両親と違って、顔は、童顔ではなく、どちらかというと、可愛い格好よりも、大人っぽい格好が似合う。
そんな私と似ているのが、私の双子の兄 早乙女紫月(サオトメシヅキ)。
私と一緒で、格好いいのが似合うし、顔も童顔じゃない。
好みも全く同じで、流石、双子と言う程だ。
何処が違うというのなら、髪の色と性別位だろう。
私は、腰までの長さの、艶のあるの黒髪で、
紫月は、ラピスラズリに、少し黒みが架かったような紺色のサラサラの髪。
そんな双子の、私たちがした約束。
『二人とも、そろそろお兄ちゃんか、お姉ちゃん決めないの?』
母が、私たちが、小学四年生の時に、そんな質問をした。
『えー?別にどうでもいいや。』
紫月が、テレビから顔を外し、どうでもよさそうに、首を捻りながら、言った。
『そんなことないわよ。ねぇ、紗姫?』
同意を求めるかのように、私に話かける母。
『……………紫月と同じ意見ね。』
私は、本を読みながら、そう言った。
・
『えー!?そういうものなの?
でも、上がどっちか、お母さん、決めて欲しいなー?』
チラッと上目遣いで聞いてくる母。
正直、これが、母親というのも、難しい位に、童顔の可愛い顔をしている母。
いろいろと言い方に、困ってしまう。
『んー………あ、そうだ。』
ひらめいたという顔をする紫月。
『紗姫、こっちに来て。』
『………?』
何をひらめいたんだろうと、疑問を持ちながら、紫月の所へ、行く私。
『あのさ…………、』
『……!…なるほどね、よく考えたわね。
良いんじゃない?私も、賛成。』
『だよな。』
ニヤッと、企みの笑みをする、私と紫月。
『何々?お母さんにも、教えてよー。』
二人だけはずるいと、いう顔をする母。
『『勿論、教えるけど?』』
『『『……………』』』
二人の息ぴったりな言葉に、母は目を点にする。
『クスッ……、』
『ハハッ……、』
私と紫月は、余りの息ぴったりに、笑ってしまった。
『……二人とも、本当に、双子ねぇ。』
感心して、頷く母。
その反対に、私たちは、まだ少し笑っていた。
・
『で、二人とも、どっちが上になったの?』
『えっと……
俺が兄で、』
『そして……
私が姉よ。』
『……………………え?』
目をきょとんとする母。
『だから、俺は兄、紗姫は姉。ってこと。』
『要するに、二人とも、上ってことなの?』
『『そう。』』
コクリと頷く私と紫月。
『全く、二人とも考えたなぁ〜。
フフッ、どっちも上になるなんてね。』
『まぁな。』
『そうね。』
母は、ずっとニコニコしていた。
何故かは、解らないけど。
・
これが、私と紫月が、決めた双子関係みたいなもの。
それから、私たちは、より一層、いつも一緒で、二人とも、相手の傍を離れずに、ずっとずっと仲が良かった。
そして、六年生の卒業式。
私たちは、こんな約束をする。
『もう卒業式、終わっちゃったな。』
『そうね、少し寂しい…。』
『……俺も。』
私と紫月は、六年生だけど、手を繋いで、木を覆い尽くすほど咲いている桜を、眺めながら、少し暗い気持ちでいた。
『………なぁ、』
『何?』
『二人だけの秘密の約束をしないか?』
何故か、そんなことを、言い出す紫月。
『………いいよ。』
訳が解らなかったけど、私は、少し嬉しくなって、オッケーした。
・
『あのさ、もしこの先、どんなことが合っても、紗姫の傍にいる。
それが、例え、最悪な運命だとしても、絶対に、紗姫を見捨てて、傍を離れたりしない。
この桜の木に誓う。』
『ッ………、』
私は、とても嬉しかった。
紫月が、そんなことを、言ってくれるなんて、思ってもみなかったから。
『紗姫は、意外に涙脆いだな。』
フッと、優しく笑う紫月。
そんな紫月に、私は、ドキッとした。
そして、紫月が、いつも以上に、カッコよく見えた。
『わっ…私も、例え、どんなことが、合っても、紫月の傍を離れたりしないわ。
………それが、駄目なことだとしても。
ずっとずっと傍にいるわ。
この桜に誓って。』
私は、泣きながら、紫月に、笑いかけた。
『絶対に、約束だ。』
『ええ、約束よ、絶対に。』
――この時、私は、実の双子の兄に、恋をした。
それは、すぐにでも壊れてしまう、脆い恋を、してしまったんだ――……。
・