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私は、貴方と約束の時に―――






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私は、早乙女紗姫(サオトメサキ)。





両親は、いつもほんわりとしたココロが優しい人で、優しい色合いの服が似合う。



そんな両親を見ながら、私は、こんな性格に育った。





両親と違って、顔は、童顔ではなく、どちらかというと、可愛い格好よりも、大人っぽい格好が似合う。





そんな私と似ているのが、私の双子の兄 早乙女紫月(サオトメシヅキ)。





私と一緒で、格好いいのが似合うし、顔も童顔じゃない。
好みも全く同じで、流石、双子と言う程だ。


何処が違うというのなら、髪の色と性別位だろう。



私は、腰までの長さの、艶のあるの黒髪で、
紫月は、ラピスラズリに、少し黒みが架かったような紺色のサラサラの髪。




そんな双子の、私たちがした約束。








『二人とも、そろそろお兄ちゃんか、お姉ちゃん決めないの?』





母が、私たちが、小学四年生の時に、そんな質問をした。





『えー?別にどうでもいいや。』





紫月が、テレビから顔を外し、どうでもよさそうに、首を捻りながら、言った。





『そんなことないわよ。ねぇ、紗姫?』





同意を求めるかのように、私に話かける母。





『……………紫月と同じ意見ね。』





私は、本を読みながら、そう言った。









『えー!?そういうものなの?
でも、上がどっちか、お母さん、決めて欲しいなー?』




チラッと上目遣いで聞いてくる母。





正直、これが、母親というのも、難しい位に、童顔の可愛い顔をしている母。
いろいろと言い方に、困ってしまう。





『んー………あ、そうだ。』





ひらめいたという顔をする紫月。





『紗姫、こっちに来て。』





『………?』





何をひらめいたんだろうと、疑問を持ちながら、紫月の所へ、行く私。





『あのさ…………、』





『……!…なるほどね、よく考えたわね。
良いんじゃない?私も、賛成。』





『だよな。』





ニヤッと、企みの笑みをする、私と紫月。





『何々?お母さんにも、教えてよー。』





二人だけはずるいと、いう顔をする母。





『『勿論、教えるけど?』』





『『『……………』』』





二人の息ぴったりな言葉に、母は目を点にする。





『クスッ……、』





『ハハッ……、』





私と紫月は、余りの息ぴったりに、笑ってしまった。





『……二人とも、本当に、双子ねぇ。』





感心して、頷く母。
その反対に、私たちは、まだ少し笑っていた。










『で、二人とも、どっちが上になったの?』





『えっと……










俺が兄で、』




『そして……










私が姉よ。』





『……………………え?』





目をきょとんとする母。





『だから、俺は兄、紗姫は姉。ってこと。』





『要するに、二人とも、上ってことなの?』





『『そう。』』





コクリと頷く私と紫月。





『全く、二人とも考えたなぁ〜。
フフッ、どっちも上になるなんてね。』





『まぁな。』





『そうね。』





母は、ずっとニコニコしていた。




何故かは、解らないけど。









これが、私と紫月が、決めた双子関係みたいなもの。





それから、私たちは、より一層、いつも一緒で、二人とも、相手の傍を離れずに、ずっとずっと仲が良かった。





そして、六年生の卒業式。





私たちは、こんな約束をする。





『もう卒業式、終わっちゃったな。』





『そうね、少し寂しい…。』





『……俺も。』





私と紫月は、六年生だけど、手を繋いで、木を覆い尽くすほど咲いている桜を、眺めながら、少し暗い気持ちでいた。





『………なぁ、』





『何?』





『二人だけの秘密の約束をしないか?』





何故か、そんなことを、言い出す紫月。





『………いいよ。』





訳が解らなかったけど、私は、少し嬉しくなって、オッケーした。








『あのさ、もしこの先、どんなことが合っても、紗姫の傍にいる。
それが、例え、最悪な運命だとしても、絶対に、紗姫を見捨てて、傍を離れたりしない。
この桜の木に誓う。』





『ッ………、』








私は、とても嬉しかった。

紫月が、そんなことを、言ってくれるなんて、思ってもみなかったから。





『紗姫は、意外に涙脆いだな。』





フッと、優しく笑う紫月。





そんな紫月に、私は、ドキッとした。
そして、紫月が、いつも以上に、カッコよく見えた。





『わっ…私も、例え、どんなことが、合っても、紫月の傍を離れたりしないわ。
………それが、駄目なことだとしても。
ずっとずっと傍にいるわ。
この桜に誓って。』





私は、泣きながら、紫月に、笑いかけた。




『絶対に、約束だ。』





『ええ、約束よ、絶対に。』











――この時、私は、実の双子の兄に、恋をした。
それは、すぐにでも壊れてしまう、脆い恋を、してしまったんだ――……。