『あらにー、誰?』
『んー、今日一緒にご飯食べる人だよ』
陽太は、少し不安そうに新にしがみついた。
『陽太も行くぅーっ』
『わかってるって、一緒に行こうな』
二人は、上着を着て平方公園前のコンビニに歩きだした。
『ど、どうしましょう』
頼子は、服の山をかき分けながらあたふたしている。
『な、何を着れば、、』
そう思った矢先、また携帯がなった。
【も、しもし】
『もしもし峰さん?』
【あ、新くん、もうつい】
『いや、もしかしたらと思って、、』
【へ?】
『、、服は、適当なのでいいから、好きなの着ておいでね』
頼子は、目をきょとんとさせた。
なんで分かったんだろ、、。
【え、あ、はい】
『あと、もうそろそろ着くよ』
【あ、分かりました、すぐ行きます】
頼子は、ほっとした様に服を選んだ。
黒いスカートに長めのTシャツ、茶色のカーディガンと赤い生地の薄いマフラー。
少し地味だが、彼女が一番着やすい服だ。
慌てて待ち合わせ場所に走る。
『ねぇ、あらにー、まだ?』
『ん、もうちょっ、、ん?』
遠くからパタパタと走ってくる人影があった。
『あ、新くん、、』
『あ、きたきた』
『おっ待た、して、すみまっ』
息を切らせる、頼子に、新は、優しく笑った。
『いいよ、いきなりごめんね』
『あ、そんな、、ん?』
頼子は、新の後ろに隠れる小さな男の子を見つけた。
『ん?、、あぁ、、弟の陽太、、』
『弟さん?、、』
『陽太、、一緒にご飯食べる人だよ』
チラッと陽太は、頼子を見つめる。
『峰 頼子って言います。よろしくね』
頼子は、小さくかがむとにっこり笑う。
『、、よ、陽太です、、』
陽太は、じっと頼子を見つめたまま、ひょいと手を伸ばした。
『あ』
『これなぁに?』
陽太は、頼子のメガネを持ってじっとみている。
『よ、陽太くん、メガネ、、返してください』
あわあわしながら、頼子が陽太を見つめる。
『へー』
新が不思議そうな声をだした。
『峰さん、メガネ外しときなよ』
『でも、これじゃ見えないんです』
『いいから、ほら、陽太も行くぞ』
新は、二人の手を引いて歩き出した。
『わわっ』
『これなら、見えなくても大丈夫だろ』
そう言って笑う新の顔をぼんやりとしか見れず、頼子も笑った。