『ただいまー』

ぶっきらぼうな呼びかけに、少々慌ただしい足音が近付く。

『あらにー、おかえりーっ』

どんっ

『っう、陽太、、苦しい、、』

ガシッと首もとに小学生くらいの男の子がしがみつく。

『母さんは?』

『んーっ、お仕事っ』

廊下を歩きチラッと茶の間を覗く。
テーブルの上に、置き手紙があった。

夕食は、レンジの中。
ご飯は、焚いてあるから。
あと、よろしくね。

『またか、、陽太、腹減ったか?』

『へったぁっ』

『、、、』

新は、不意にメモ用紙と携帯を取り出す。

『、、?、あらにー?』

『、、、し、陽太、静かにな』

陽太は、口を手で押さえた。





机に向かう頼子は、ふと、携帯を見ては、ノートに向かっている。

小難しい資料集と教科書をめくっては、ペンを動かして、また携帯を見る。

『やっぱり、、連絡来ませんね』

また、ノートに目を落とした。

たららんたららんっ

知らない番号からの電話だが、頼子は、そっとそれに応えた。



【も、もしもし、、】

『あ、峰さん?』

【え、ぁっ新くん?】

『うん、今、ちょっといい?』

ガタッと音を立てて、頼子は、思わず立ち上がる。

【あ、何かご用ですか?】

『んー、一緒に飯食べない?』

【え?】

いきなりの誘いに、頼子は、少し驚いた。

どうやら、今日の頼み事に関する連絡では、ないらしい。

頼子は、ちょっと不安になりながら考える。

『、あ、峰さん、無理ならぜんぜ』

【だ、大丈夫です、えっと、、】

男の子からの食事の誘いは、初めてで、頼子は、どう言えばいいか戸惑った。

『本当に?、じゃあ、、迎え行くから、近くに何かある?』

【あ、コンビニが平方公園前のコンビニが近いです】

『了解、また着く時連絡するから』

【はい、わかりました、では】

『うん』




頼子は、へなっとイスに座り込む。

『連絡来ました、、』

呆然としながら、バタバタと支度をした。