次の日から、薫くんと話すようになった。

薫くんは、何度も先生のところに質問に来る。

先生と近くに必ず座るあたしは、薫くんと関わることができる。

だけど...

あまり話せない。

でも話したい。

あたしは、塾が終わって薫くんが帰るときに話しかけに行くようになった。

薫くんと雄也は一緒に帰る。

雄也とは話せるあたしは、それをうまく使った。

薫くんと雄也が帰ろうとするときに、ドアのところまで駆け寄って。

「じゃぁねー。」って。

それが薫くんとの唯一の会話だった。

あたしは週4で塾を入れている。

薫くんは週3。

そのうち、あたしと薫くんが会えるのは2日間だけ。

その2日間は、あたしにとってはかなり貴重だった。

薫くんと会える唯一の日で。

大切な大事な日で。