「…ばさ、翼。そろそろ起きて、着くよ」 真音の声で、僕はゆっくり目を開いた。 座って寝たからか身体が痛い。 気がつくと僕の左手は真音の右手としっかり繋がれていた。 それに気づいた真音はパッと手を離した。 僕の左手には、まだ少し真音のぬくもりが残っている気がした。 「えっと、はい眼鏡」 普段僕は眼鏡を掛けているが、寝ているのを見かねて真音が外してくれたのだろう。 「ありがとう」 僕は眼鏡を受け取り、掛ける。