観覧車は一周し、僕らは降りた。


降りるとき、真音に手を差し伸べる。

真音の手は、僕よりふたまわり位小さくて華奢だったけど、ちゃんと音楽家の手をしていた。


少し歩いたところで、ふと真音は立ち止まった。


「翼、もう一度、私に魔法をかけてよ」


「…僕は、……」

「魔法使いじゃなくていい。私に、音楽の楽しさを教えて…」