「行って参ります」



洋風の大きな屋敷。

その高い門扉の前に、一人の娘が立っていた。


ぽつりと呟く。


期待と不安。

歓喜と寂寥。

それらが全て綯い交ぜになったような声。

しかし、彼女の碧い瞳には強い光が宿っていた。





一度だけ名残惜しむように屋敷へと視線を這わせて。



くるりと背を向け、しっかりとした足取りで歩き出す。

風に、銀色の髪が棚引いていた。