単なる礼とはいえ、あんなカワイイ娘に話しかけられてラッキーだったな…というだけに留めてその出来事は心の思い出ボックスに仕舞われた。










―――ハズだったのだが









暫く歩いていた壱吾クンは徐に足を止めて肩越しに背後を振りかえった。


その瞬間、後ろを歩いていた人物がさっと電柱の陰に隠れた。


…隠れたが、はっきり言って遅かった。

バッチリ見えたし。




しかも見えてナイと思い込んでいるのか、電柱の陰から顔をひょっこり出してコチラを見詰めている。














苺ちゃんである。