真っ白い一人用の病室に、織はいた。

本当に、見た目は何ともないようだった。

「……小田原」

俺が声をかけると、織はやっと気づいて、こちらの方を向いた。

「その声……葵、かな?」

やはり目が見えていないようで、向いている方向が微妙に俺に合ってない。

「あはは、やっぱ目が見えないの、慣れないや」

そう言って笑う織だが、その笑顔には影があるように思えた。