「はぁ~、やっと今日の授業終わった」
机の上に突っ伏す。
7限目の英語はキツかった。
市橋先輩に会えない1日は長い。
……と。
こんなことしてる場合じゃなかった。
ガバッと起きあがると手早く机の上を片付ける。
「それじゃあ私急ぐから掃除当番代わりにお願いね」
「おいっ!!」
鞄を肩に掛けると夏希に掃除当番を押し付け、夏希の返事は無視してあみちゃんに手を振り、教室を飛び出した。
市橋先輩は帰宅部。
勉強もスポーツも万能な市橋先輩には高校のクラブ活動なんて生ぬるいから、市橋先輩はどの部にも所属していない。
つまり!!
急いで校門に行けば帰り際の市橋先輩に会えるかもしれないってこと。
“廊下を走ってはいけません”って叱られるリスクを覚悟の上でひた走る。
1階のエントランスまで降り、靴を履き替えて……愕然とした。
「やった~、最前列!!」
「あたしも~!!」
走ったのに。
走って来たのに校門前には既に市橋先輩目当てで出待ちしている女の子の列が幾重にも重なっていた。
ちらほら近隣の高校の制服も見かけられる。
市橋先輩、他所の学校でも人気なんだ。