“球技大会”というものがうちの高校にはある。

毎年、男女別でクラス対抗で競技を行うのだ。


今年の種目は男子がサッカー、女子はなんと……バスケ。


バスケ。

よりにもよってバスケ。


私のあまり高くない身長(低いと認めたくない)を嘲笑うかのような種目。



「どうして!? どうしてバスケなの!?」


市橋先輩がするバスケなら見たいけど。


「まあまあ、もう終わっちゃったんだし」


体育館の隅っこにへたり込む私の肩をあみちゃんがポンポンと軽く叩いて慰めてくれる。


うー、聖母様みたいだよ、あみちゃん!!


そう、私とあみちゃんが所属する1-2Cチームはあえなく初戦敗退してしまった。

だって、相手チームにはバスケ部の人が3人もいたんだもん。

やっとのことでボール取れても、高い3枚の壁に阻まれてパスどころじゃなかった……。


「顔面トスせずに済んで良かったな」


下心全開のだらしなく口元を緩めた顔であみちゃんに抱きついてデレデレしていると、頭上から声が降ってきた。



うん?

バレないように涎を啜ってから顔を上げると、意地悪な笑みを浮かべた夏希の姿が。