走った。
走って走って,外に出た。
もちろん,傘は持ってない。
ただひたすらに雨に濡れながら走ったんだ。
何度も転びそうになって,地面に手をついた。
手は擦りむけた。
ドロで真っ黒だった。
それでも走った。
その先は――――――――・・・・
「春美?!」
フェンス。
彼がいた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「何?どうしたの??」
「・・・はぁ・・・はぁ。」
「傘は?」
「・・・え・・・あ・・・忘れてきた。」
「・・・・・・。」
カケルくんがフェンス下から傘を伸ばした。
「いいよ!!」
「え?」
「・・・濡れていたい・・・・から。」
「・・・・・。」
カケルくんはそのまま傘を閉じた。
「さしてていいよ!!」
「いいよ。おれも濡れたい。」
「!」
やさしぃ・・・ね。