「春。」
「ん?」


あのカケルくんの笑顔を見ることができてから2週間。
私たちの秘密の場所・時間は続いていた。
ある日,悠が話しかけてきた。


「あのさ・・・香苗部活来てるの?」
「え・・・カナちゃん?」


矢部香苗。
私と悠と一緒にコーラス部に入った子だ。
私と悠が2組で,彼女は6組。
私が部活の見学に行っていた時に時々いた。
私が入部した時には入らずに,少し遅れてから入部した子だ。


「来てないよ。」
「ふーん。」

悠は今日ちょっと不機嫌だ。


「・・・なんか・・・あったの?」
「・・・・てかさぁ。ちょっと言ってもいい?」
「え?」

「私が部活行こうと何だろうと私の勝手じゃない?」











―――――――――――・・・・・







全く予想外の発言に,私の頭は真っ白になった。



「な・・・?」
「春さ,宏樹にチクったでしょ,私が部活さぼってるの。」



―悠来てねぇだろ,今度言っとくよ。-

ちくったって・・・・・



「宏樹にさ,中途半端なことやめろとか言われたの。」

「別に私の勝手じゃん。」

「現に誰も来てないんでしょ今?」



「幽霊部員でもいいじゃん。変なことしないでくれる?」