とある町の,

とある私立高校。

野球部,バレー部,サッカー部,バスケ部,テニス部と,球技系の部活がとても盛んで有名な高校。

そんな学校の中でひそかに活動している部活。

それが,私の所属する「コーラス部」。


「春,明日も部活休むからよろしくネ!!」
「また!?休日はいつも休むのね#」
「ごめぇん,バイトなんだよぉ!次は絶対出るからさ!!」
「・・・・わかった,ちゃんと出てね!?」
「モチモチ~~!!」


私の名前は瀧野春美。
高校1年生。

私が所属しているコーラス部は決して有名ではない。
3年生が引退して,2年生が5人,そして私たち1年生が3人。
先輩の2年生がくる日はめったになく,私以外の2人もサボリがち。
私だけが通う部活と化していた。

吹奏楽部のいる隣の部屋。
つまり,小さな音楽準備室が私たちの活動場所。

私が入る前の部活は人数が多くて,視聴覚室とか,第2音楽室とか使っていたらしい。
さすがに部員人数8人じゃ貸してもらえる教室もなかった。

音楽準備室は何気に防音で,あまり声が聞こえず,
私は1人でそこを使っていた。

放課後4時過ぎから夜の7時までは私の独占した部屋となる。



だれも来ることのないその部屋は,まるで秘密基地のようだった。