「あ、起きた?」

……しゃべった。

「あれ?どうしたの?いきなりで恥ずかしいから黙っちゃってる感じ?」

……は?

「まあね、僕くらいかっこいいとみんな緊張しちゃうよね!」

……は?は?

「リラックスしていいんだからねー」

「………誰だお前」

「………」


これが、この変人とあたしの出会いだった。


(ほらね?!図書館行ったお陰で何かが始まったでしょ?)

(恋愛小説特有の‘ときめき要素’がある何かが始まった気なんてしないのはあたしだけか。
そもそも恋愛小説の主人公があたしなのは何かの手違いなんじゃないのか?)

(まあまあ気にするな。杏さんよ。)