「ホテル側の厚意だ」

 厚意でVIPルームを使わせてくれるなんて、どういう間柄なんだろうか。

 それとも、この人はそれだけ有名なんだろうか?

「代わりにホテルの要請には無償で応えねばならんがね」

「ああ、なるほど」

 しかし、それにしたってホテル側は割に合わないんじゃないだろうか?

「さすがに頻繁に利用したりはせんよ」

 考えを読まれたらしく、淡々と応えられた。

「今回はお前たちも考慮したうえでの事だ」

 この人は、先の先を考えているのか……陣は、ベリルの人当たりの良さを隣に立ち会話する事で実感した。