「あ、いた」

 外のバルコニーに見知った背中を見つけ、ガラス張りの扉を引いて近寄る。

 やや距離を空けて隣に立ち、ビル群の景色に目を細めた。

 その存在感から大きく見えがちだが、青司よりも1㎝ほど低く陣よりも4㎝は低い。

 なのに、どうして勝てる気がしないのだろうか。

 やはり戦場を経験した者の重みなのか、清潔感の中にある泥臭さが2人の間に見えない壁を形作っているようだった。

「あの、傭兵って儲かるんですか?」

 なんとなく居心地が悪くて質問を投げてみた。

「それのみでは稼げんよ」

「でも……」

 振り返り、見えるリビングに視線を送るとベリルは、

「ああ」とバルコニーに背中を預ける。