「陣と青司はあちらに、絵理はそちらに」

 それぞれにベッドルームを指し示し、リビングに向かった。

 自己紹介すらしていないというのに慣れた風に呼ばれ、いささか困惑する。

 この調子なら、こちらの自己紹介は必要なさそうだ。

「さすがVIPルーム、ベッドが4つあるとか。青司は着替えた方がいいな」

「え? あ」

 絵理を守ろうとした勲章があちこちにこびりついていた。

「先にいっとく」

 軽く手を振ってリビングに向かった。

 リビングに来たはいいが、そこにベリルはおらず、そこから続くキッチンにもいない事を確認して周囲を見渡す。