「傭兵と聞いて信じるか」

「! 傭兵?」

 聞き慣れない言葉に陣と絵理は難色を示した。

 言葉だけでなく、おおよそ想像のつかない容姿に戸惑いは隠せない。

「傭兵が人助け?」

 皮肉混じりの青司を一瞥したが、彼の瞳に起伏は無い。

 いつ殴りかかられても不思議じゃない状況に、陣だけが泡食っていた。

「名を聞いてなかったな」

「ベリルだ」

 絵理の問いかけに、険のない声で応える。

 助けてくれた時もそうだったが、この人はどうしてこんなにも落ち着いているのだろうと陣は感心した。