心からそう思っているのだろう。
新八の顔はどこか懐かしそうに、そしてとても穏やかな顔をしていた。
しかしそれに引き換え鉄之助の表情といったら。
土方の名前が出た途端あからさまに曇っていく鉄之助の表情。
そしてあっという間にその顔は下を向いてしまった。
今も尚、鉄之助はその名を穏やかに聞くことが出来ないでいる。
泣いてしまいそうになるのだ。
その名を聞くだけで思い出す。
最後に会ったあの人の姿を、言葉を、表情を。
彦五郎たちもそれをわかっているのだろう。
出来る限り日常的な会話のなかで土方の名を出すことはなかった。
そんな鉄之助を見て、新八は思う。
来て正解だったと。
やっぱりあの人が心配していた通りだったと。