しかし今、彼は目の前にいる。

この地に足をついて。




「もうちっとボロボロになってるかと思ってたが、意外と元気そうだな」




その言葉に鉄之助は恥ずかしそうに頭を掻いた。




「はい。本当に、よくしてもらっていて…」




此処での暮らしは本当に平穏だ。


彦五郎たちは余所者である鉄之助にも家族同然に接してくれる。本当によくしてくれている。

それは土方が願った通りの待遇だった。


そのお陰で辿り着いた頃はボロボロに痩せ細っていた鉄之助も、しっかりとした健康体に回復することが出来たのだ。

鉄之助はこの家の人々に本当に感謝している。


そんな鉄之助の言葉に新八は楽しそうに笑った。




「此処の人たちは土方さんに似て優しいからな」