だって、図書室の入り口前に彩人くんがいたから。


「彩人くん…」

「あ、橘!」



 でも、次の不安はすぐに押し寄せてきた。



「近間先生、戸締まりしておきました。あと、鍵と荷物です。」


 彩人くんはこっちを一瞬見たものの、すぐに逸らして、ちーちゃんにそう言った。


 そして、鍵と荷物を渡すなり、『さようなら。』と言って、帰ってしまった。










 ・・・すごく胸が痛くなった。





 どうしてなのかなんて、わからなくて…










 ただ悲しかった…



 今にも泣いてしまいそうだった…









 そんな私に気付いたのか、ちーちゃんが『おいで。私の胸貸してあげるから。』そう言ってくれた。