そうだ、私が謝らないといけないのは彩人くんのお兄さんじゃない。
彩人くんだ。
でも、彩人くんには佐藤さんが………
「何を気に病んでいるのか知らないが、彩人はお前のことを心から想っている。」
そんなことない!
だって、彩人くんは佐藤さんと笑い合っていたもの………
それは何よりの証拠でしょう…?
「そんなことないですよ。だって、彩人くんは佐藤さんと優しい笑顔で話していたのですから。」
「そんなのは知らんが」
知らんのかい!
だったら軽々しく言わないでほしいのだけれど。
でも、お兄さんは優しい顔をして、拗ねたように言った。
「毎日幸せそうに待ち受け画面を見つめている。こちらにも愛しいのが伝わってくるほどだ。うらやましいくらいだ!」
「そうなんですか…?」
なぜ私は彩人くんを信じてあげられなかったんだろう?
とても大好きなひとを。
ただ目の前に広がった表面上の出来事しかとらえなかった。
なんでちゃんと話し合わなかったのだろう?
話し合えばちゃんとわかりあえたはずなのに。
もう一度彩人くんを信じなきゃ!