「小夜…?」


「あ、もう授業始まるから行くねっ!!」


「ちょっ、泣いてっ…!?」










 私はちーちゃんが引き留める声も振り払って、図書室を飛び出した。










 そして、屋上に向かった。





 着いた途端、数歩進んで崩れるように座り込んだ。










 とにかく、一人になって何も考えたくなかった。





 でも、ここは彩人くんとの思い出が多すぎた。





 紅月から逃げるためにふたりできた場所。





 人生初めての告白を彩人くんにした場所。



 私と彩人くんの過去を知った場所。










 すべてが走馬灯のように蘇って、私の心を余計に締め付ける。










 あの頃はあんなに楽しかったんだ………










 彩人くんちゃんと授業受けてるかなぁ………?





 見てみる?





 やっぱ、やめとこ。。





 今は顔を見ることすら辛いよ………










 私の涙はいつになったら止まるのかな………?





 さすがに6時間目は受けないといけないだろうし。


 ハヤTの数学だからね。





 あと10分くらいで授業終わるなぁ………





 もう泣き止まないと、バレちゃうよ………





 制服の袖で涙を拭って、ゆっくりと立ち上がった。










 でも、よく考えれば彩人くんに何にもきいてないのだから事実はわからないじゃない…!





 こんなところでうじうじ考えたって仕方ない…!










 彩人くんにちゃんときこう!





 きっと、ちゃんと答えてくれるはず…!










 期待を胸に私は教室へと向かった。