「私、いいところないからなぁ……」


「はぁ…なんでそんなに自分のこと否定するかなぁ?」


「だって…」


「小夜にもいいところはたくさんあるでしょ?」


「ないよ…ちーちゃんはいいよね、いいところばっかりじゃん!」





 ホントいいところばっかりじゃん……


 綺麗だし!


 スタイルいいし!


 優しいし、お母さんみたいにあったかい…





 私にはないものばっかり持ってるよ………








「あんたねぇ!もっと自分に自信持ちなさいよ!」


「無理だよ…私なんの魅力もないもん………」


「またそんなこと言うっ!それってねぇ!?小夜のことを好きな橘のことも否定してるのよっ?!わかってるっ?!」


「そうかもしれないけど……わからないよ……」





 私の魅力なんて………





 しょうがないじゃない…


 不安で不安で仕方ないの…



 なんかもうやだよ。





「はぁ…なんで泣くかなぁ…?小夜は案外、ネガティブ子ちゃんなのよねぇ」





 気付けば頬を涙が伝っていた。



 それを優しくちーちゃんは指で拭ってくれている。



 いつの間にこんなに弱くなっちゃったんだろう………










 昔は、笑うことができなくて、友達がいなかった。


 それは悲しくて仕方なかった。


 けど、決して人前では泣かなかった。


 泣くときだって、部屋で一人声を殺して泣いていた。










 そんなことを思い出していると、ち-ちゃんの両手が私の両頬を包んだ。
 驚いて正面にいるちーちゃんの顔を見ると.........










 優しく微笑んでいた。