「紗江ちゃんおいでー」


…あちゃー、本格的に怒らせちゃった。


「紗江ちゃんごめん。嫌だったよな。もーしない。じゃあ俺帰る…」


一気に捲し立て、紗江ちゃんとは反対方向に足を向けた。

「…っ、待って」

そしたら紗江ちゃんの方から走ってきてくれた。


俺の制服の袖をちょん、と摘まむ。

やべーわ、紗江ちゃんがこんなことするなんて…

「嫌じゃなくて、その。…。」


目をキョロキョロさせながら必死に言葉を探してるけど、見つからないみたいだ。