「桃杏!」
「はい!」
リクは教えて貰った名で早速呼びたいと思った。
「始めは、クローバーの国へ行く。この道を真っすぐ歩けば、すぐに城は見えてくる。国のシンボルである楽器は、大抵城の中に保管してあるんだ」
桃杏はリクが指さした方向を見た。
さっき桃杏も眺めていた道だ。
「だが、ここで問題がある。」
リクはそこで一呼吸する。
「クローバーの国には、知り合いが居るんだが、そいつは俺がうさぎだとは知らない。明るいうちは警備が頑丈だし、忍び込めるとしたら夜しかないだろう」
リクは言葉を続ける。
桃杏は黙って聞いている。
「でも夜は、クローバーの城の壁に生えているツルが警備をするんだ。侵入者を発見したら、ツルはこう、そいつをぐるぐる巻きにして城の誰かが見つけるまで離さない」
リクはぐるぐる巻きにするツルの動きを真似していた。
警備をするツルがあるなんて…!桃杏は口にはしていないが、とても驚いた。