なにはともあれ景時と黒曜の間に、一時的にではあるが『うさぎ不可侵協定』が結ばれた。
壊れたおかげでますます見晴らしが良くなった窓際に腰掛けたうさぎ。
彼女から微妙に離れた位置に座って、携帯灰皿を取り出した黒曜。
その二人に、同じく微妙な距離を保った景時が赤い頭を下げた。
「ご迷惑おかけシマシタ…」
「海より深く反省しろ。
そして紅玉を返せ。」
「あぅ…
ソレはヤダ…」
「よすのじゃ、黒曜。
景時、もう良い。」
うさぎが銀の髪を揺らして、困ったように首を傾げた。
うさちゃん、優しい…
やっぱ、ダレかサンとは違うよね───!
「それより、深雪に礼を言っておくのじゃぞ。
非力な身でありながら、必死でそなたを救おうとしておった。」
「うん…
そー言えば、深雪さんは?」