不思議そうに首を捻った景時を、紙コップを握り潰したうさぎがキっと睨み上げた。


「己で飛ぶのと、あのようなカラクリに拘束されて振り回されるのとでは、訳が違う。
それにあの物の怪共は、殺気どころか気配もなく襲いかかってきたではないか。」




おー、なるほど。
お化け屋敷も作り物だしね。

納得。

でも、そんなコトより…

頬を紅潮させて、目を潤ませて、恨めしそうに見上げるうさぎ…

あぁ…


「可愛い…」


甘く微笑みながら、景時は口にした。

いつもは殺されそうで言わなかった言葉を、初めて口にした。


「可愛いだと?
妾が?」


うさぎが不愉快そうに眉根を寄せる。

だがすぐに、首を傾げて考え込んで。

それから、照れたように困ったように、口元を綻ばせて…