「うさちゃんって、男の視線とか気になったりしない?」
「気にした事はない。」
声を落として耳元で囁いた景時に、うさぎはキッパリ言い切った。
…
デスヨネー?
慣れてるだろうしネー?
でも、ちょっとダケ気にしてみない?
危機感持ってみない?
うさぎに危険はないカモだケド、俺が嫉妬の炎で焼死危機だよ?
…あぁ、もう!
俺ってば、病的なヤキモチ妬き…
「どうでも良い事じゃ。」
悄気きった景時を見て、首を傾げたうさぎはクスクス笑った。
そして景時のTシャツの前襟を掴んで引き寄せ、茶褐色の瞳を覗き込む。
「妾だけを見ておれ。
そうすれば、周りの事など気にはならぬ。」
(こんな場所で殺りにきたよ、この人。)
景時は耳どころか全身を真っ赤にして、硬直した。
今日は暑いね。
いや、熱いよね。
夏だからね。
あれ? 俺だけ?
もう殺し文句なんていらないのに。
もう完全に君に参ってるのに。
もう随分前から、君しか見えてないンだよ。