香は素直に男の手を借りて立ち上がった。


「僕、1年の山下 悠哉。よろしくね?」


山下 悠哉と名乗った男は香に最高に可愛い笑顔を向けた。


この笑顔で、何人も女を落としてきた、悠哉だが香は何も感じないようで、淡々と自己紹介をした。


「私は3年。名前は香。」


名字を教えないのは、遊び人に教えたくないな、というちょっとした意地だった。