斗賀は、林檎を頬張るみたいにガバッと顔を林檎に……。


別に噛みつく訳でもなく、舐める訳でもなく。


ただ、鼻を擦りつけて匂いを嗅いでいるようだ。


ゴロゴロとテーブルの上に転がる林檎。


どう見ても遊んでいるように見えるのだが……。


暫くすると、斗賀は1つの林檎を手にして舐め始めた。


「今日はこれでいいのね?」


何やら、杏花は納得した様子で斗賀の手から林檎を取り上げ


その代わりに再び玩具を手渡した。


「杏花、どういう事?」


「ん?ウフフフッ……」


杏花は含み笑いをしながら、再びキッチンへと。


数分すると、


「要~、ご飯の用意が出来たから、斗賀を連れて来て~」


「ん~」


斗賀を抱き上げ、ダイニングに着くと


俺らの朝食の他に、斗賀の離乳食が用意されていた。


俺の腕から斗賀を受取り、杏花は斗賀にペースト状の離乳食をくれる。


俺はそんな2人の様子を眺めていると、


「実はね?斗賀は利き林檎が出来るんだよねぇ」


「はっ?」


「だから~、林檎の目利きならぬ、鼻利きが出来るみたい」


「はぁぁあっ?!」