玩具に夢中になっている斗賀を見つめ、溜息が零れる。


こんな風に一人遊びが出来るようになっていただなんて。


ついこの間見た時は、必死に寝返りの練習をしていた。


それが、家を留守にしていた間に


こんなにもしっかりとした顔つきになってるとは……。


子供の成長って早いと聞くが、


こうして目の当たりにしてみると、納得だな。


この先もこんな風に気付かぬうちに成長していて


俺が父親だという事を認識出来ないんじゃないだろうかと不安になる。


仕事にキリがついたら、ゆっくり家族で過ごさないと……


そのうち、家に帰り辛くなりそうで怖いな。


斗賀の頭を優しく撫でていると、


「はぁ~い、斗賀。今日はどれにする~?」


「は?」


杏花は斗賀の目の前に、林檎を4つ並べた。


すると、斗賀は玩具を手放して林檎に釘付け。


玩具で遊んでいた時よりも生き生きとした表情に変った。


「杏花、これはどういう事?」


「ん?まぁ、見ててよ♪」


ベビーチェアの横に跪いた杏花は、


とても楽しそうに斗賀を見つめて……。


すると、