少し前から、俺らの寝室にベビーベッドが置かれている。
それは杏花からメールを貰って知っていたが、
俺は内心、少し不安があった。
杏花と一緒に寝れるのは嬉しいが、
今からお楽しみ♪という夫婦の時間を突然に奪われて
俺は斗賀に嫉妬せずにいられるか、
父親として最低な男に成り下がらないか、
不安が拭い去れないでいた。
そんな想いを心に秘めたまま
俺はハーブティーを手にして2人のもとへ。
「………寝たのか?」
「ん、さっきね」
「随分、寝つきがいいんだな」
「村岡さんのお陰。すっごくいい子なのよ~」
ベビーベッドの中で気持ち良さそうに寝ている斗賀。
この前、こんな風に寝ている姿を見たのはいつだったか。
それさえも思い出せないほど、2人といる時間がなかった。
杏花の話によると、斗賀は生活リズムがしっかりしているらしい。
生後6カ月頃の乳幼児は、母乳から離乳食に少しずつ移行するが
母乳より腹持ちが悪い離乳食で夜泣きする子が多いらしい。
だが、村岡の知恵と杏花の腕でそれを回避出来ているという。
だから、19時頃に寝かしつけると
3時ごろまで一度も起きずに寝てくれるという。
こんな小さいうちから杏花の心を鷲掴みするとは、大した奴だ。