杏花の作るミネストローネは、


本場のレシピを忠実に再現していて


野菜本来の味がしっかり味わえる。


俺が疲れて帰る時、必ずこれが食卓に上る。


俺の体調を気遣っての彼女の深い愛が込められている。


「要、味はどう?」


「ん、旨い」


俺が微笑むと彼女は安堵した表情を浮かべる。


杏花が作ったモノなら、


例え嫌いなモノだとしても頬は緩むというのに。


彼女は俺の顔色ばかり気にして……。


ホント、俺はどこまで彼女に翻弄されればいいのやら。




少し早めの夕食を済ませ、


杏花は斗賀を寝かせる事になった。


俺はすかさず、


「杏花、何か飲むか?」


「ん~、お茶がいいかな?」


「じゃあ、少ししたら持ってくな?」


「ありがと」


俺は彼女の為にハーブティーを淹れにキッチンへ。


すっかり手慣れた手つきでそれを淹れる。


彼女が妊娠中に毎日のように淹れていたから


すっかり体に馴染んでしまった。


彼女と結婚する前は、キッチンにも立ったことが無かったのに。