本音を言えば、杏花と2人でゆっくり入りたい。
だが、斗賀を蔑ろにしたい訳じゃない。
今の俺らには斗賀もいて、3人で家族だ。
誰一人欠ける事無く、3人でのんびり過ごしたい。
不在気味の間に斗賀はすっかりおすわりが出来るようになっていた。
子供の成長は本当に早い。
きっと、あっという間にハイハイして
知らぬ間に歩けるようになっているのだろう。
仕事があるのは有難いが、
もう少し家族と過ごせる時間が欲しいと思うのは欲張りだろうか?
湯船に浸かると、途端に大人しくなった斗賀。
その顔はまるで、温泉に浸かるオヤジみたいに……。
「気持ち良さそうにしてるな」
「うん。斗賀はお風呂好きみたい」
「杏花に似たんだな」
「……そうみたいね」
俺の視線が気になるのか、
杏花は相変わらず、背を向けて湯に浸かる。
後ろ姿だけでも、欲情するには十分なのだが。
透き通るような白い肌。
俺は首筋から湯の中の腰元まで隈なく視線を向ける。
………大丈夫そうだな。
すっかり忘れていた事を思い出し、確認した。
そして、優しく彼女のお腹に腕を回して………抱き寄せた。