一週間ぶりの我が家。
玄関ドアを開けた途端に旨そうな香りが鼻腔を掠める。
俺の好きなアレの香りだ。
斗賀を抱えたままリビングに着くと、
「お帰りなさいませ」
「ん、ただいま。留守中、2人が世話になったな」
「いえ、私は何もしておりません」
「今日は家族3人でゆっくり過ごすから、本田も聡とゆっくり過ごすといい」
「………お気遣い有難うございます」
村岡の夫(会長の専属運転手)が急性虫垂炎で入院している為、
村岡の代わりに本田が身の回りの世話をしてくれていた。
この自宅に出入り出来る人間は限られている。
会長夫妻の配慮でこの数日間、
本田がここへ寝泊まりしてくれていた。
「後の事は私がしますので、少しでも早く彼のもとに……」
「本当にお気遣い有難うございます。では、お言葉に甘えて……。失礼致します」
本田は深々と一礼して、その場を後にした。
「要、先にお風呂に入る?」
「ん~……そうだな、3人で入るか」
「へっ?」
「たまにはのんびり入るのもいいだろ」
「………そっ、そうねっ//////」