見覚えのある後ろ姿。
少し走ると、見えてきた。
その後ろ姿には、どこか元気がなくて。それがあたしのせいなんだと考えると申し訳なくなった。
「中田っ!!」
帰宅部のあたしに、この全力疾走は辛い。
息が上手くできなくて苦しい。
どうやらあたしの声は中田には届いていないみたいで、中田は全く反応しない。
だから仕方なく立ち止まって
「中田ぁっ!!」
大きな声で叫んでやった。
「え?」
すると、驚いたように振り返る。
走り出したときだった。
ボロボロだったサンダルからブチッと嫌な音が聞こえてきて、あたしの視界がグラッと揺れた。
「うわっ!」
自分の口からは色気のない声が出て、我ながら女子力の低い女だと瞬時に思った。
そしてその数秒後。