バスに乗るのか、電車に乗るのかすらも知らない。そんな些細なことも知らないんだ、あたしって。

考えろ、考えるんだあたし!


「………あっ」


中田の行動や、話していたことを必死で思い出してみた。

そうだ、中田はバス通学だった。


この前のクラス会のときに言ってた。

"俺帰りバスだから"

って!!


「こっち!」


中田が乗るであろうバス停がある方向へ走り出す。慌てて出てきたもんだから、あたしはボロボロのサンダルを履いていて。

気を付けないと転けそうだった。


携帯を握りしめ、必死で走る。

すれ違う人に見られるけど、そんなこと今は気にならない。それくらい、必死だった。